2009年2月17日
日本原燃(株)
社長 兒島伊佐美 殿
                        核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会
                                 代表 澤口進
                            電話&FAX 0176-53-6061

再処理工場高レベル廃液の漏洩問題等に関する公開質問状

 私達は、昨年12月24日に「再処理工場の15回目の竣工延期に関する公開質問
状」を貴職に提出し、1月30日に回答の送付を受けました。しかし、全く誠意が感じ
られない回答であり、とても残念に思っています。
 そのような中、今度は高レベル廃液を漏らすという、信じられない事象が起きまし
た。これは、再処理工場を運転するに必要な技術レベルを疑わせる事態で、貴職の言う
「安全文化」が形成されていない実情を示したものです。このような初歩的ミスを犯す
貴社に、再処理工場運転能力がないことは明らかです。
 それなのに、竣工を目指すと言っている貴職に対し、下記にて公開質問状を提出しま
すので、可能な限り早急に誠意ある対応をしていただきたい。
 なお、回答に際しては、文書回答を求めますが、その場合には回答に対する質疑討論
の場も求めたいので、回答の日時と場所について連絡下さい。
 また、回答を受け取る場面は、事前にマスコミに周知して、マスコミが同席する可能
性もあることに留意して、パワーポイントを使用し、専門の技術者を配置し、直接やり
取りができることを強く求めます。



1、白金族のガラス溶融炉の炉底部に堆積・沈降する問題点について。
1)白金族が炉底に堆積・沈降することは、最初から分かっていたのではないですか。
2)ガラス溶融炉の経済的考え方だけで炉を大きくしたが、他の炉の問題点と比べれば
  メリットが多いという説明なされます。しかし、大きくしたことが、むしろ問題を
  引き起こしたのではないですか。

2、かくはん棒の問題点について
1)かくはん棒(インコネル)は沸点は1,400℃と言われてますが、ガラス溶融炉
  の中の温度は、1,100℃〜1,200℃と言われています。そのかくはん棒でガ
  ラス溶融炉の中をかき混ぜると言うのは、当然かくはん棒には変形が出ると思われ
  ますが、耐えられると思慮して使うにいたった根拠は何ですか。

3、天井レンガの脱落について
1)かくはん棒が天井レンガにいたずらしたのか。
2)天井レンガが脱落したのは、設計・施行の時の問題か、それともレンガの材質の問
  題か。

4.閉止フランジからの漏えい問題について
1)トラブル等の情報区分の考え方(トラブル事例集の中で)では、「100リットル
  以上の放射性物質の漏えい?A情報」なのに、今回150リットル漏えいしている 
  が、B情報として扱ったのは問題があるのではないですか。
2)1月15日、塔藻類廃ガス処理設備の設備点検中に系統内の負圧が通常より深くな
  る事象が発生したというが、なぜ設備点検中に深くなったのか。
@上記点検中、固化セルの漏えい液受皿の液位上昇が確認されたということは、塔藻類
 廃ガス処理設備の負圧が深くなる事象との関連はどうなっているのか。
A液位上昇が確認されたというのは、どのような方法で確認できたのか。
B液位上昇に伴って、それらの原因究明がされたのか。
C1月17日、漏えい液受皿の液位高警報を発報する液位に達していなかった。その後
 数回高警報を発砲した。これら数回も高警報が発報されたことに対しての、なぜ発砲
 したのか原因究明が必要ではないのか。
D警報装置の考え方、指導性の問題があるのではないか。
Eまた日常的に発報されているので、マンネリ化しているのではないか。
3)供給槽Aに関する設備について、
@閉止フランジ@につながる配管上のエアリフトが通常120リットル/h流量が、なぜ
 流量が65リットル/hになったのですか。
Aパージ空気流量は、通水作動試験時に通常の流量に設定以降、変更した記録がないた
 めに流量の増加した理由について、機械的要因、プロセス要因、人的要因の中で、異
 常がないと言ってますが、それでは原因は何であるかかがはっきりしていない。これ
 では、具体的対策が出るはずがない。原因究明をはっきりとさせる考えはないのです
 か。
B閉止フランジをなぜ再使用したのか。
C他の場所で、材料等の再使用を禁止している場所は、どのような場所か。
D分析結果、漏えい液受皿もセシウムが通常の4倍強ということであるが、建屋等の除
 染はどうするのか。
E蒸発した気体はどこへ放出されたのか。
Fすべての放射能はフィルターで除去されたのか。
G主排気塔から放出された放射能について、具体的に明らかにせよ。
Hモニタリングポストの火災との関連はないのか。
I原因の文書の内容はすべて…思われるとか、…推定されるという表現になっており、
 これが原因だということがない。これでは、本当の原因が分からないし、対策を立て
 ても対策にならないのではないか。
J事故等が発生すれば、すぐに品質保証体制の確立というが、本当に安全文化に対する
 考え方がないのではないか。

5.再度漏えいの経過報告について
@添付資料を見ても、漏えいの経路、時系列的に滴下について報告されているが、何が
 原因で滴下したのか明らかにされていないし、閉止フランジの増し締めについてもど
 の位のトルクで増し締めを行ったのか不明である。1回目の漏えい時の増し締めにつ
 いても問題ありながら、ただ漏えいについて30分位ITVで監視しただけである。少
 なくとも長時間の監視行動が必要ではなかったのか。
Aこのようなことは、品質保証体制と言い、安全文化と謳いながら、根本的な問題が隠
 れている結果の手抜き作業ではないのか。
B外部に放射能漏れがないから良いというものではないので、過去の様々なトラブルに
 学んで、もっと緊張感を持って安全性を確立する制度を確立してきたと報道されてき
 たが、それが全くの嘘だったということではないのか。

6、閉止フランジの取り付けについて
@今回の閉止フランジの取り付け作業に当たったのは、誰か。貴社の社員、またはメー
 カーの社員、それとも現場に不慣れな下請けの社員か。
A閉止フランジからの一度目の液垂れ発覚の後の補修に当たったのは誰か。
B閉止フランジからの再度の液垂れ発覚で、フランジを取り外したのは誰か。
Cこれらの作業は、遠隔操作で行われるが、ITVを通して視界はクリアーに確保されて
 いるのか。それとも、高温の蒸気が発生しているので、視界不良だったのか。
Dこのような作業の際、ITVの映像は、どこでチェックできるようになっているのか。
Eまた、ガラス固化施設の遠隔操作もだが、ガラス固化施設そのものの補修作業と今回
 のフランジの補修作業は、どこから遠隔操作して行ったのか。
Fこの一連の作業については、その都度保安院の現地駐在員に報告されているはずだ 
 が、現地駐在員はその報告を受ける都度、補修を行っている現場の近くのITVで見学
 したのか。それとも、コントロールルームで見学しただけか。
G今回はB情報からA情報に格上げになったわけだが、こういう経緯について県民はマス
 コミを通じて知るしか手段がないのが現状である。もっと県民に対して、分かり易く
 説明する方法を考えるべきではないのか。

7、トラブル補修費用負担について
 まだアクティブ試験の最中であり、メーカーからの機器の引き継ぎが完全には行われ
てない状況と思われる。しかし、これまで数多くのトラブルが発生している。そこで、
懸念されるのは、トラブル補修に掛かる費用が、建設費を押し上げるのではないかとい
う不安である。
 現在の法律では、核燃料サイクルのバックエンド費用は、国民の払う電気代から徴収
されることになっているので、六ヶ所再処理工場がトラブルを発生させる度に、掛かる
経費が上乗せされるのではないかと心配される。
 例えば、使用済核燃料貯蔵プールの漏水発覚の際、すでに操業していたにも関わら
ず、使用済核燃料の搬入をストップして修理に当たった。
 アクティブ試験中とは言っても、再処理を行い、一定程度の売り上げを上げているの
は事実であり、ガラス固化不調が原因で、竣工が延びている現状の場合、他の部署のメ
ーカーには問題がないので、早く操業したいという気持ちになるのが人情だと思われ
る。
@そこで、貴社としては、ガラス固化の不調を引き起こしているメーカーに対して、ペ
 ナルティーを貸す考えはないか。
Aまた、ガラス固化の不調の都度、貴社は新しい治具を研究開発しているが、その費用
 はどちらが持つのか。
B本格操業後の使用済核燃料貯蔵プールの補修費用は、一体誰が負担したのか。
C竣工前のガラス固化施設の不調の補修に掛かる費用の一切は、誰が負担するのか。
D将来、本格操業入り後に、工場全体を止めざるを得ない事故が発生した場合、その補
 修費用は誰が負担するのか。
Eガラス固化溶融炉を新しく研究開発するのに掛かる費用は、国と貴社が折半すること
 になっているが、片方は税金で、片方は電気料金である。技術の不足をこのような形
 で補充することは、当初から考えられていたのか。
F再処理工場の当初の建設費が7600億円、現状が2兆1930億円。この差は、何
 を含んで増えたのか。
G現在の再処理工場は、まだメーカーの引渡しを受けていないので、補修費用はメーカ
 ー持ちという情報がある。また、様々な試験をクリアーして、既にメーカーから引渡
 しを受けているので、補修費用は貴社持ちという声もある。どちらが正しいのか。
Hガラス溶融炉は5年毎に更新するというので、その費用は今後も上積みされると思わ
 れる。また、他の機器においても、40年の操業の前に更新される機器があるのでは
 ないか。それらを一切明らかにせず、建設経費という名前で示しているのが2兆19
 30億円ということではないのか。
 40年の操業の間に更新する機器(1万機もあるので、その全ての寿命は前もって分
 かっていると思われる)がいくつあって、その寿命が何年と想定しているのかを明か
 にすれば、再処理工場を40年運転するには、現時点の物価で計上すると、どの位に
 なるのかが分かるが、その総額はいくらか。
I再処理工場の建設・補修費用がどんなに増えても、電力会社も貴社も責任を取らず 
 に、全て利用者の払う電気代で賄うので、問題がないということになるのか。
J現状で、再処理工場の多くは完璧に完成していても、ガラス固化施設の不調で工場全
 体を止めているだけであるとすれば、操業が順調に行けば一定程度の売り上げを上げ
 ることができるはずであるので、その逸失利益は莫大な金額になるのではないか。そ
 のマイナス分を、高レベルガラス固化施設の建設に当たっているメーカーに請求する
 声は内部から出ていないのか。
                 
 以上46項目について分かり易くお答え下さい。


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